北海道ウォーカーを存分に活用しよう
工場の場合も、限られた製品しかつくれないのではなく、新製品でも何でもすぐにつくれるだけの多能工場でなければ、これからの時代は生き残っていけないのではすべての工場を多能工場に同社の場合も、専門工場という形態をやめ、建築現場に近い工場を、部材をはじめとするすべてを生産できる多能工場へと、転換を目指した。
そのためには受注情報がきちんと地元の工場に入り、工場では一棟ごとの生産指示書に従って、一棟ずつ部材をつくっていく方式の徹底が要求された。
大量生産方式とはまったく異質のものである。
一棟ごとに必要な部材を順番につくっていき、一式揃ったところで、建築現場に届けていくという方式だ。
当然段取り替えも頻繁になる。
けれども、一棟ごとに順番につくるのだから、部材をいちいち倉庫に運んでいく手間もいらなくなるし、順番に運びだせば、在庫を持たずに、納期の短縮が可能になる。
東京で家を一棟建てるために、九州や関西にそれぞれ部材を手配する必要もない。
ある工場の部材がないために、工事全体が遅れるというリスクも避けられない。
受注と生産と納品の連動について触れたように、利益をあげ、競争力のある企業になるには、生産現場だけが頑張っても限界がある。
たしかに金儲けの鍵は生産現場に落ちているが、たとえば営業部門が消費者のニーズを的確にキャッチして、生産部門にすみやかにフィードバックするシステムができていなければ、消費者に支持される商品は生み出せない。
設計部門や商品開発部門も、たえず一から設計を見直すだけの努力をしなければ、他を圧倒するようなコストの削減は実現しない。
せっかく商品を速くつくっても、物流部門があいかわらずの「まとめて運ぶほうが効率がよい」という大ロット感覚では、在庫の場所が少し変わったにすぎない。
もちろん「つくっていくら」ではなく、「売れていくら」である以上、営業が極端に弱かったり、代金の回収が甘かったりでは何にもならない。
生産改革というのは、もちろん生産現場が中心になって進める。
それでも、工場の強さは競争力の一部にすぎないというのもたしかだ。
大切なのは、受注から生産、納品に至る流れがきちんとできていること。
設計から資材、生産、物流、販売、そして間接部門に至るまで、すべての部門がコスト意識を持って、徹底的にムダを削ぎ落とす。
しかもムダは退治したと思っても、まだ無限にあるんだという目で、継続して削ぎ落としていく。
削ぎ落としができるようになると、まさにどこにも負けない企業に生まれだから伸びたA住宅会社の場合も、生産現場の改革には当然営業部門との連動が不可欠だし、設計部門の協力がなければ改革などできるはずもなかった。
何よりトップ自身が「変わらなければ」という危機感をもって取り組んだからこそ、可能だったと言える。
家を建てるには、それだけでは足りない。
まだまだ変革すべき課題が多かった。
木材やクギのような調達資材やカーペットやサッシといった部品の納入問題だ。
以前と同様にメーカー任せにしていると、物流の関係で、相手はどうしても大ロットで運ぼうとするし、欠品や不具合への対応も相手のペースでしか進まない。
これではいくら本体を改革しても、資材や部品によって、建築そのものが遅れてしまう。
そこで、協力企業にも、生産改革への取り組みを進める一方、調達資材については、同社自身が定期便を走らせて、資材を回収していった。
もちろん方式の転換には最初は相手の抵抗あったが、徐々に定着し、現在では一○○以上の定期便ルートが完成し、ムダのない資材調達が可能になっている。
建築現場の負担を少しでも軽くするために、もともとは職人による現場作業を可能なかぎり工場で処理し、それらを一棟ごとに現場に運ぶ。
こうして現場の作業効率もアップできた。
大量在庫の削減という難問題を解決するために、工場の生産改革からスタートしたものの、それだけで終わるのではない。
最終的には営業から設計、物流、建築現場に至るすべての部門の改革へと広がっていった。
だからこそ、在庫の削減と同時に、売上げも伸び、経常利益も利益率も飛躍的に伸びたので変わる。
「全社的な取り組みを」とはよく言われる言葉だ。
その実情は、営業は営業、工場は工場、物流は物流という縦割りで取り組んでいるだけで、必ずしも連動しているとは言えないケースが多い。
本当に競争力のあるモノづくりを実現しようと思えば、会社のあらゆる部門がコストダウンという目標に向かって、「ここがムダじゃないか」「こうすれば安くなるのでは」と改善や工夫を重ねていく。
蛍光灯をはずすとか、電気を消すという話ではない。
会社のあらゆる部門に隠れている無数の小さなムダを一つずつ丹念に潰していく。
それこそ、本当の競争に勝てるコストダウンと言える。
生産現場だけでなく、全社員がコストダウンという意識をもって仕事に取り組むのが本来の「全社一丸」だ。
それには、誰よりもトップ自身が、強い意志をもって改革をやり続ける。
意志の継続が必要だ。
コストダウンというと、自分の責任はあいまいなままに、社員のクビを切り、下請けを泣かせてよしとする経営者など論外だ。
本来はそんな無責任な一時しのぎではなく、不断の改善や創意工夫を積み重ねて、たえざるコストダウンを続ける。
それこそがトップの役目と言える。
生産改革にはトップの強い意志と、何よりもやり続ける忍耐力が不可欠だ。
T生産方式について、知識を持っている人は多いし、もしかしたらTよりも先に同様のシステムを考えた人もいるかもしれない。
しかし、何よりも大切なのは机上のプランを実際にどこまでやるかである。
どこまで継続できるかだ。
ここにTの凄さもあるし、T生産方式を自社のものとできるかどうかの鍵も、この点にかかっている。
ある。
あっ、窓が取りつけられない家を建てるには、A住宅会社でつくっている部材や部品だけでは当然足りない。
カーペットやサッシといった、同社で加工できないものは、それぞれのメーカーから納入してもらう。
建築現場にメーカーごとに個別に納入してもらっていたのも廃した。
同社が一棟ごとに部材や部品をひとまとめにして建築現場に運ぶために、納入先を現場から工場に変更をした。
建築現場での無用の混乱を避けるのが目的である。
工事にならない。
大慌てでメーカーに連絡をしても、在庫がない部品だと、納品のメドがたたない。
これではお客様への約束が果たせるはずもない。
建築にあたってのミスを分析したところ、工場でのミスや設計ミス、現場でのミス以上に目についたのが、実は仕入れ先に起因するミスだった。
仕入れた部品を使って、いざ取りつけようとすると、梱包内に欠品があったり、セットミスがあったり、あるいは破損や製造そのもののミスがあったりして、そのために工事が進まない。
いくら部材をきちんとつくっても、ドアや窓が取りつけられないようでは、納品したメーカーの責任にしてしまえば、それでいいのか。
もちろんそうはいかない。
お客様はあくまでも住宅会社に発注したのであり、部品が揃うとか揃わないは何の関係もない。
そうした現場での無用の混乱を避けるために、工場で部品をきちんと点検して、部材とワンセットにして建築現場に届ける方式を採用した。
それでもすべての問題が片づくわけでもない。
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